
|
(4)コンピュータ・リテラシー教育の基盤化
以上の3点以外にも、近年のきわだった特徴としては、急速に進む高度情報化社会への対応である。いまや社会科学系のほとんどの大学、学部において、コンピュータ・リテラシー教育が熱心に行われるようになってきたのである。しかしながら、あまりにも急速な高度情報化への対応に迫られているがために、学部、学科の性格と情報の整理・分析の方法教育とをどのように有機的に体系化していくかという点については、今後の課題となるところであろう。
2. 行政学・政策科学の教育方法
なお、大学への社会的要請との関係から、こうした新たな教育の分野が増えた理由も考える必要があろう。
ひとつには、激動する社会変動に対応して、問題を発見し、解きうる多角的、総合的な能力が求められてきたことであろう。例えば、現状では経済の低成長の影響もあって公務員志望の学生は多いが、単に法律を執行する公務員ではなく、問題を分析し、解決するといった総合的考察力、多角的視点を備えた資質が求められる傾向にあるようである。おそらく、民間企業でも同様であろう。政策科学の領域は言うまでもなく、一方では各論化が進行する行政学の分野でも学際化は避けられないものであった。近年の学部、学科、コース制の多様化は、まさにこのような状況の反映である。
ふたつには、国民の生活が豊かになりゆとりが生じるとともに、生涯教育の場としての大学への関心、あるいは、国の内外における激動する社会変動、技術革新の変動に対応した各種能力のリカレント教育の場としての大学への関心が高まったことであろう。各大学、社会人入試など杜会人への門戸を広く開放する努力をしているところである。そのためには、大学教育自体が社会状況に対応する必要があり、行政学、政策科学の領域も決して無縁ではなかった。近年は、学部教育よりも大学院教育へとその比重は移行しつつあるようにも感じられ、大学院においても研究者要請としてよりは「専門的職業人」要請へと向かいつつあるのである。
こうした状況から教育の方法にもいくつかの変化が見られる。
第1に、大学教育がアカデミックな領域に限定されず、実務界との研究・教育上の交流が高まっていることである。実務界との交流とは言っても、特に社会科学の場合、交流の
前ページ 目次へ 次ページ
|

|